図説 量子化学(分子軌道への視覚的アプローチ)裳華房

以下の本をざっと読んだ。

図説 量子化学: 分子軌道への視覚的アプローチ (化学サポートシリーズ) 

分子軌道法を勉強していく上で、細かい数式は入れずに、概略、分子軌道の考え方が示した本だと思う。比較的簡単な分子に対して、分子軌道のエネルギー準位及び電子空間分布がどういうものかを理解できる。『第3章 分子軌道の組み立てと図示の基本』がよいと思う。図の結果は量子計算の結果を表示したものである。

電子の空間分布及びエネルギー準位の計算を求めるのが数値計算の最重要課題と思う。

そこから、いろいろな結論を出していく。

大野さんの岩波の『量子化学』友田さんの『分子軌道法』の本にも触れられている。この後、大野さんの本をざっと読み、友田さんの本、

藤永さんの『入門分子軌道法 分子計算を手がける前に』 を読む予定。

 

内容についての簡単なまとめ。

第1章 原子軌道と分子軌道

p4 原子中のオービタルの分類は最重要。(K、L、M、N殻)(1s,2s,2p,3s,3p,3d,4s)

p8  電子存在確率が0のところを節(node)と呼ばれ、面状の節は、節面(nodal plane)と

  いう。たぶん、存在確率が0を強調するのは、反応性が高いことと関係あると

  思う。各orbitalの電子の空間分布は重要。頭に入れる必要ある。

p9  主量子数、方位量子数、磁気量子数。後者の2つは、hamiltonianに出てくる、

  球面量子関数と直接関係するところであり、すごく重要。

  なぜなら、多くの場合、化学反応は、位相項(θ、Φ)が重要であるからだ。

  上の藤永さんの本にいいこと書いてあった。実は、途中まで読んでいるのだ。

  r成分が異なっていても、波動関数の位相項が同じであれば、同じような化学

  反応を示すとあったような。後で確認する。

p12 一方、波動関数が Φ と -Φ であるが、電子の存在確率は、Φ*Φなので

  (実数なら2乗)、同等である。しかし位相は違うのである。

  結合性軌道と反結合性軌道であるが、確か、片方は、プラスマイナス逆転

  していたはずだ。存在確率同じでも、性質が大きく異なる。

  位相項は、重要である。

  (メモ)まだよくわかっていないが、密度汎関数は、この位相項を略して、

      高速計算を実現している?とのことだが、その分、不正確になると

      考えられる。ほんとか?

p13  1.3.3 電子の波動性と干渉作用。 位相が重要。

分子軌道は、原子軌道をもとに推定される。数値計算も、分子軌道を求めるにあたり

基底関数を原子軌道とし、線形展開するのが基本である。

 

p19 イオン化エネルギーと電子親和力

  どの本も触れている。定番。ゆえ、重要。

p27 電子の授受の起こりやすさと電気陰性度

  (I+A)/2 を電気陰性度の指標としている理由がわかった。    

p30  電子波の干渉効果と変形効果 いまいち、わかりにくい説明だ。

   ここは、正しく理解しているか怪しいので別途。

p31  1.5.4  電子波の重ね合わせと軌道の線形結合

  先に述べた通り。分子軌道は、原子軌道をもとに構成。厳密には、基底関数は、

  どんな関数でもいいはず。構成する分子から大きくずれていないだろうという

  ことが前提にある。

p32 1.5.5 結合性軌道と反結合性軌道 

  1.5.6  π結合と多重結合 

  ⇒π結合の概念を導入したのがepockingなideaではないか?

p36 1.6 分子軌道の組み立て原理

  ⇒このあたりの内容が極めて重要。文章だけで難しくない。

   でもこの本の重要なところである。これと3章の内容か。。。

 とりあえず、ここまで。

 

 

1章 古典論から量子論へ(量子化学 原田)

量子化学(原田)上巻 裳華房

 

この本で量子化学の内容を整理する。コンピュータで量子計算ができるようになって

きたが、量子力学をきちんと理解しないと、研究対象に対して、何をどのように適用

すればよいかがわからない。特に未知の問題にアプローチする場合は、計画的に、

何をどのように計算させるかを考えることが重要である。徒に時間を使ってしまうことになると思うからである。

この本『はじめに』を記載内容を見ると、『読者が時折コンピュータを操作しながら、

本書を読んでいただくことを期待している。』とある。コンピュータを併用しながら

進めると、理解が深まるようである。

§1・1 量子化学

 古典的な物理化学は、熱力学の原理を用いて論じられてきたが、20世紀に入ってから、量子力学が発見され、量子力学が利用されるようになった。コンピュータの進歩により、複雑な分子に対しても計算できるようになり、最近では、化学反応の経路が推定されるようになっている。

§1・2  古典物理学の破綻

 ■空洞輻射(黒体輻射) 空洞輻射のスペクトル分布。 図1.2重要。

 温度が上がると、極大位置が高周波数に移っていく。Rayleigh-Jeansの式。

 低周波に対しては、実験結果を再現するが、高周波に対しては、再現できない。

 Plankが量子仮説を導入して、新しい分布則を提出。

 なるほど、低周波域に対しては、Rayleigh-Jeansの式を再現する。

 ■光電効果

 光を波と考えるのでなく、Planckのエネルギー量子hνを持った粒子とする考え。

 Einsteinが提出。相対論でなくて、この業績でノーベル賞を取った。

 ★1電子に対して、同時に複数の光子が吸収される場合は、確率的に少ないと考える

  ようだ。昔、この辺り気になったことがある。あまり本に書いてないな。

 ■水素の原子構造

  長岡モデルとThomsonモデル。安定性を考えるとThomsonモデルに軍配があがるが

  Rutherfordの実験で、長岡の惑星モデルの方が正しいことが判明。しかし、安定性  

  の問題が解決しない。

§1・3  水素のスペクトルとBohrの理論

  制動放射の問題は解決しないが、Bohrによって、水素スペクトルの問題が解決

  された。制動放射は、wikipediaを見ると、あの二コラ・テスラが発見したとか。

  知らなかった。

  古典的な惑星モデルをベースに、Bohrの量子条件(湯川秀樹 量子力学序説の(2.19))

  を導入して、(要は、各運動量がプランク乗数の整数倍)各軌道におけるエネルギー

  準位を求めることに成功したのだった。(定常状態、Bohrの量子条件、Bohr半径)

  ★軌道の周回長が波長の整数倍であることと等価だと思うが、Bohrの量子条件は

   これがベースであると手持ちの本を見ると、そのように述べてないな。

   頭にはあったと思うが物理の専門書もそこを押し出してない。奇異な感じが

   する。energyが角運動量の2乗の逆数となることを利用しているのか?(1.3.11)

   後、湯川さんの本は評判悪いな。例に挙げたのよくなかったか。。

       Rydberg(リュードベリ)乗数は重要。 1/ λ= R ( 1/m2 - 1/n2) (1.3.2)

  イオン化エネルギー基底状態にある電子を無限遠まで引き離すために必要な

  エネルギー。無限遠を0とする。だから、軌道にある電子のエネルギーは、負。

  

 

黒体輻射スペクトルの最大値を与える波長の温度依存(岩波量子化学)

量子化学 (化学入門コース 6)

おさらい継続中。 スペクトルの最大値を与える波長をλmaxとすると、

λmax × T = 一定。 Wienの変位則というそうだ。

スペクトルの理論式から導けるはず。

 

今調べたら、プランクの式から容易に導ける。温度や周波数の適用限界があるとおもっていたが、厳密な式なんだね。

ウィーンの変位則 - Wikipedia

ボルンオッペンハイマ―近似(岩波量子化学)

量子化学 (化学入門コース 6)

第一章のおさらい継続中。p8で1eVの運動エネルギを持つ電子の速度を求める問題があった。大体、秒速600kmともとまる。一方、陽子の場合は、質量が1836倍と大きいため、秒速14kmである。動きが全然違う。ということで、原子核の運動は無視してよい

ボルンオッペンハイマ―近似がなりたつのである。 とふと思った。でも、まったく無視できない大きさでもないような。

 

多重結合をもつ物質の化合について(岩波量子化学)

量子化学 (化学入門コース 6)

の第一章のおさらいを始めた。量子化学は、何の役に立つのかが最初に述べられている。その一つとして、『反応によってなにがせいせいするか、また、反応がどのように

進むかを予測することができる。』とある。例えば、エチレン(C2H4)とブタジエン

(C4H6)とでシクロヘキセン(C6H10)が反応。エチレン(C2H4)とエチレン(C2H4)とで、

シクロブタン(C4H8)の反応について述べられている。後者は、反応が進みにくいらしい。その理由がわかるというもの。また、エチレンとブタジエンのH原子をそれぞれ

-CHO基と-OCH3基で置換した化合物どうしから、オルト構造は進むがメタ構造が

進まないとかの理由も説明できるそうな。

二重結合をもつ化合物通しが反応した場合の物質の構造がすぐにわからない。

数学的に候補を見つけるアルゴリズムはないのか。まだ見習いなのでそのロジックが

わからない。わかる人は、二重結合が取れた場合の手の位置がどこの移るのかすぐに

わかるのだろうけど。現在は、計算機でできるレベルにきているのだろうな。

個人的には、量子化学を離れて、この辺りが気になった。

臨死体験 木内さん

臨死体験で明かされる宇宙の「遺言」 (単行本) | 木内 鶴彦

を久しぶりに読んだ。2016年発行の本。今年で木内さんも70歳か。

・第一次臨死体験と第二臨死体験がある。(p18)

・6歳の時に聞いた『危ない』という声は、未来の木内さん自身のものだった。(P28)

・自分に迫る来る得体のしれない大きな存在を感じた。(大きな割れという感じ。(p30)

・過去の四国地方の神社の柱に『つる』の文字を彫り付けて、後に発見した。(p34)

・京都にある和歌の名家の家宝として代々伝わる歌集に『つる』の文字が入っていた。

・敗血症になった。胆石が崩壊。⇒パラレルワールド?(p51)

・意識が肉体を離れ、未来を経験していた。(p56)

臨死体験で見てきた原始の人は、テレパシーを使っていたようだ。草木動物とも話

 ができていたようだ。(p58)

・所有の概念がでてくると、テレパシーが不都合なものとなり、回路を閉じた。(p59)

  ⇒結果、言葉と文字が必要となった。

 

 

 

 

ホーキング、ブラックホールを語る

ホーキング、ブラックホールを語る (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) | スティーヴン・W・ホーキング, 佐藤 勝彦, 塩原 通緒 |本 | 通販 | Amazon

 

2017年に重力波の検出に伴い、その実在が確認され、2019年に電波望遠鏡で初めて

その姿の撮影に成功し、今再注目の天体「ブラックホール

ホーキングによるBBCのラジオ講義の内容が本にまとめられた。

巨大な星がみずからの重力で内部につぶれ、光さえも外で出てこれなくなったもの

ブラックホールである。アインシュタインは、1939年度の論文では、重力で崩壊

するなどありえないと言っていたそうだ。

それを否定していたのが、ジョン・ホイーラー。(ブラックホールに毛がない)

・事象の地平面 

ブラックホールの存在は、間接的に認めることができる。

 - ブラックホールの近くの星がその重力により、引き裂かれるために、その振動が

  重力波として、宇宙空間を伝わると考えられるからだ。

  10億年以上前の2つブラックホールの衝突で先般、検出されたとのこと。

  今では、古い話だ、ノーベル賞の対象となった現象か。。。

・熱圧力

 通常、(太陽など)水素をヘリウムに変える熱過程によって、生じる。

 通常の星は、この圧力によって、重力で押しつぶされないで済んでいる。

 NASAは、熱圧力で膨張するのを重力で押しとどめている状況を圧力釜に例

 えている。

★燃料が尽きると、星は収縮に向かうが、白色矮星になる場合がある。

 質量の上限は、太陽質量の約1.4倍。チャンドラセカールによる。

 中性子性の質量限界は、レフ・ランダウが計算で導いている。<<知らん。

★縮退圧は、熱圧力と別の概念。

ブラックホール理論検討は、原爆開発で有名なオッペンハイマ―が1939年に

 共著の2つの論文で示した。(質量の大きい星が密度が無限大になることを

 示した。)

★クウエーサー ブラックホールの周りをぐるぐる回っている物質でできた円盤

 と考えられている。明るく輝きすぎ。核過程では説明できない。

※赤色矮星白色矮星中性子性、ブラックホール それぞれの違いをまとめよ。

★1970年に数学的発見。ブラックホールを取り囲む事象の地平面の表面積について

 ブラックホールに新たな物質や放射が落下するたびに地平面の表面積が増大する。

エントロピーとの相似性。同一と見なしていいか?

ブラックホールは3つのパラメータで定義できる。質量、角運動量電荷

 (ベッケンシュタインにより提唱。)

 それ以外の以前の情報は保持していない。ブラックホールになるとエントロピー

 減る?

ブラックホールになりうる構造は無限にあるのか? 否。量子効果が関係する。

 不確定性原理に従えば、ブラックホール自身の波長よりも小さい波長をもった

 粒子にしか形成できないとのこと。 なんだ?

★事象の地平面の表面積に比例する有限のエントロピーがあれば、ブラックホール

 の温度も表面重力に比例した有限の温度がなくてはならない。???

 よくわからないが矛盾するとのこと。外に温度を発生することができないからだと

 ブラックホールは、なにものも外にださないので。。

ブラックホールは、一定のペースで粒子を放出することが予想された。

 外に出ていく粒子の波長が熱を示唆していたのが確信の大きな理由。

 ホーキング放射と呼ばれるものである。

★仮想の粒子と反粒子が生成される。その証拠として、ラムシフトがあげられる。

★内部で情報が失われるか否かの議論。よくわからない。ファインマンの理論を

 持ち出して、解決? 多世界解釈? なんか話を作りすぎのような気がする。

 さらには、スーパートランスレーション(超並進対称性)という数学的アイディア

 の導入。ブラックホールは柔らかい毛(エネルギーゼロの量子状態)を持っている。

★『時間順序保護仮説』や『宇宙創成の無境界仮説』を提唱している。前者は聞いた

  ことある。でも多世界に分岐ありなら、保護いらないのでは?