この本で量子化学の内容を整理する。コンピュータで量子計算ができるようになって
きたが、量子力学をきちんと理解しないと、研究対象に対して、何をどのように適用
すればよいかがわからない。特に未知の問題にアプローチする場合は、計画的に、
何をどのように計算させるかを考えることが重要である。徒に時間を使ってしまうことになると思うからである。
この本『はじめに』を記載内容を見ると、『読者が時折コンピュータを操作しながら、
本書を読んでいただくことを期待している。』とある。コンピュータを併用しながら
進めると、理解が深まるようである。
§1・1 量子化学
古典的な物理化学は、熱力学の原理を用いて論じられてきたが、20世紀に入ってから、量子力学が発見され、量子力学が利用されるようになった。コンピュータの進歩により、複雑な分子に対しても計算できるようになり、最近では、化学反応の経路が推定されるようになっている。
§1・2 古典物理学の破綻
■空洞輻射(黒体輻射) 空洞輻射のスペクトル分布。 図1.2重要。
温度が上がると、極大位置が高周波数に移っていく。Rayleigh-Jeansの式。
低周波に対しては、実験結果を再現するが、高周波に対しては、再現できない。
Plankが量子仮説を導入して、新しい分布則を提出。
なるほど、低周波域に対しては、Rayleigh-Jeansの式を再現する。
■光電効果
光を波と考えるのでなく、Planckのエネルギー量子hνを持った粒子とする考え。
Einsteinが提出。相対論でなくて、この業績でノーベル賞を取った。
★1電子に対して、同時に複数の光子が吸収される場合は、確率的に少ないと考える
ようだ。昔、この辺り気になったことがある。あまり本に書いてないな。
■水素の原子構造
長岡モデルとThomsonモデル。安定性を考えるとThomsonモデルに軍配があがるが
Rutherfordの実験で、長岡の惑星モデルの方が正しいことが判明。しかし、安定性
の問題が解決しない。
§1・3 水素のスペクトルとBohrの理論
制動放射の問題は解決しないが、Bohrによって、水素スペクトルの問題が解決
された。制動放射は、wikipediaを見ると、あの二コラ・テスラが発見したとか。
知らなかった。
古典的な惑星モデルをベースに、Bohrの量子条件(湯川秀樹 量子力学序説の(2.19))
を導入して、(要は、各運動量がプランク乗数の整数倍)各軌道におけるエネルギー
準位を求めることに成功したのだった。(定常状態、Bohrの量子条件、Bohr半径)
★軌道の周回長が波長の整数倍であることと等価だと思うが、Bohrの量子条件は
これがベースであると手持ちの本を見ると、そのように述べてないな。
頭にはあったと思うが物理の専門書もそこを押し出してない。奇異な感じが
する。energyが角運動量の2乗の逆数となることを利用しているのか?(1.3.11)
後、湯川さんの本は評判悪いな。例に挙げたのよくなかったか。。
Rydberg(リュードベリ)乗数は重要。 1/ λ= R ( 1/m2 - 1/n2) (1.3.2)
イオン化エネルギー:基底状態にある電子を無限遠まで引き離すために必要な
エネルギー。無限遠を0とする。だから、軌道にある電子のエネルギーは、負。